国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
プロローグ
――たとえ運命がふたりを裂こうとも、我は生涯そなたを守り続けるだろう。

――たとえこの想いが貫けなくとも、私は生涯あなたを愛し続けるでしょう。

――決して案ずることなかれ、天竜の加護を与えたもう。

※ ※ ※

分厚い灰色の雲が夜空を覆い、しんしんと雪が降る十二月。

小さな村でミリアン・エマ・フィデールは、母であるサーナとふたりで五歳になる誕生日を迎えていた。今日は朝から村の人たちがミリアンのためにお祝いを言いに来て、忙しない一日だった。

「わぁ! 私の好きなチキンのグリル! ありがとう、お母さん」

小さな平屋で、決して裕福な暮らしではなかったが、木製のテーブルに広がる今まで見たこともない豪華な料理に、ミリアンは興奮を隠しきれなかった。

「ふふ、これだけじゃないわよ? これをあなたに」

椅子に座るミリアンの後ろで、優しく肩に手を載せていたサーナが、身につけていた首飾りを、ミリアンの母譲りである美しい金髪をかき分けてその細い首につけた。

「これ、お母さんが大切にしていた物でしょう?」

緑に近い蒼い大きな瞳をぱちぱちさせながら、ミリアンは微笑むサーナを見上げた。
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