御曹司は恋の音色にとらわれる
いつもの来客
5月に入り、花見に楽しんだ桜も葉桜になり、
緑が色鮮やかに輝いている。

道行く人の中には、半袖の人もちらほらみかけ、
夏の訪れを待ちわびているかのよう。

私、高橋 美華(たかはし みか)の勤める会社の玄関にも、
開花時期を迎えた、トルコキキョウやカスミソウが生けられ、
訪れる人を華やかに出迎えていた。

株式会社『ラグジュアリー』は、高級輸入家具の販売を
主力にしている会社で、高額なだけに、
個人を相手にする事はまれで、

もっぱら、高級ホテルなどが顧客となり、
一般には知られていないが、業界の中では、
一流品ばかり扱うセンスのいい会社として知られていた。

そこの受付嬢として、勤務して2年、
仕事にも慣れ、話しはなかなか、かみ合わないが、
可愛い後輩もでき、充実した毎日を送っていた。
< 1 / 102 >

この作品をシェア

pagetop