おそるおそる反応を伺うと、やっぱり難しい顔をして考え込んでいた。それでも五十嵐さんは決して無理だとは言わなかった。不安になった私の額の上に、また手を乗せてくる。

「莉々子ちゃんの理想とは違うかもしれないけど、俺なりに努力はするよ。じゃあ土曜の夜は、雨が降るように祈っといて」
「土曜日? どうしてですか?」

約束は日曜日だ。土曜日の天気は関係ない。
問いかけても、「なんでだろうね」と濁す。その後、五十嵐さんがスマホをとりだして、連絡先の交換を促してきたせいで、話はうやむやになってしまった。


    ◇ ◇ ◇ ◇


なぜ、土曜日に雨が降るといいのか、その答えは意外なところで見つかった。
バイト先とコンビニで、外回りの掃除をしていた時、入り口近くに張られたポスターに目がとまる。

「そっか……、花火大会なんだ」

今度の土曜に、この近くで大きな花火大会が開催される。土曜日か……。日曜日だったらよかったのに。肩を落としかけたその時、日付の横に書いてある、注釈を発見する。

「……雨天順延? え、それって!」

雨が降ると順延され、日曜日の夜に花火が打ち上げられる。もしかして、五十嵐さんの言ってたことってこのこと? それに気付いた私は、休憩時間に真っ先にスマホを取り出して、週末の天気を確認した。

(やった。雨マークついてる)

土曜日は曇のち雨。しかも横殴りの強い雨マークになっている。そして日曜日は晴れ。
狭い休憩室で、叫びだしたくなる気持ちを抑えるのが必死だった。

「土曜日夜に、雨が降りますように!」
 

家に帰ってから、てるてる坊主を作って、逆さまに吊るした。