「……あなたのこと、好きになってもいいんですか?」
「どうして、そんなこと聞くの?」
「だって、五十嵐さん大人だから。大人の関係って私の認識と違うのかもって」

キスの仕方が違ったように、もしかしたらその先も違うかもしれない。
恋人同士という肩書にこだわらず、情熱に身を任せてしまえる関係なら私には難しい。遊びだとは思ってない。でも、本気じゃないならこれ以上私を夢中になせないでほしい。
好きになったら、好きになってもらいたい。

祈るような気持ちで返事を待っていると、五十嵐さんが私の頬にそっと触れた。

「……いいも悪いも、とっくに捕まってるから」

誰が? 誰に? わからなくて開きかけた唇は、優しい温もりで塞がれてしまう。

「君しか見てない」 

わかるよな? と五十嵐さんは諭すように言った。私は何度もこくこくと頷いた。

「舌、からませて」

ゆっくりと、入り込んできた舌が熱い。

「んっ、……これ、……酔うから」
「何に酔うの?」

お酒じゃない。五十嵐さんに酔う。今日のキスは、この前のキスよりずっと優しい。でも、花火と同じくらいの熱い。ねっとりと絡みあうキスは、私を焦れさせる。

私達は、最後まで花火を見ていられなかった。キスに夢中になって、花火どころではなくなってしまったからだ。
 
「……もう、むり」

わずかにこすれ合う、衣擦れの感触さえじれったい。この前のような、激しいキスがしたくなってくる。

「帰る?」

五十嵐さんの問いかけに、私はすぐに頷いた。