仕事も恋も効率的に?
『コウ、暇なら一緒にまわらない?』
『え?』
『いーじゃん、たまには、ね!懐かしいじゃん!』
『...ごめん、彼女待ってんだよ』
『え!!やだ、ごめん!!』
『あ、いや...』
『そっかぁ、コウはもう次に進んでたんだね...。で、どこどこ?その彼女って!』
『まだ見てると思う』
『そっか。じゃー私も待たせてもらおっかなー』
『はぁ?!』
『なによ、いーじゃない。元カノとしてはちょっと気になるもん』
『はぁぁ?勘弁してくれって...。みち...彼女は俺達の過去なんて知らないんだから、困るだろうが...』
『へぇぇ?みちさんって言うの?どんな子かなぁ?』

純粋に興味本位なんだろうが...。美奈子がどう思おうと、俺にはみちしかいなくて、もう離したくなくて。
確かに美奈子と買い物してる時は長く感じた時間も、みちが相手だと苦にもならない。

ほんとは今も一緒に見たかったが、女性誌の前に俺が立ってるのも微妙だから、外にいて欲しいと追い出されたわけで...苦笑。

『...マジで、付き合い始めたばっかりだし、もう少ししたらどっかで紹介するから』
『へぇぇ、コウがそんなに隠したいほどの彼女なの?なに?見せるほどじゃないってことぉ?』
『だから、ほんとに、勘弁してって』
『コウのことだから、可愛い子だと紹介すると思うんだけど、そーでもないってことかしら?笑。まだ私にもチャンスあるってことかな?』
『はぁ?何言ってんの??』


もういいかなって恐る恐る店を出ようとして、まだ会話する2人に気づかれないように本棚の影に隠れながら雑誌を読むふりをする。


『...やっぱりコウがいいよ...。私たち...戻れないのかな...?』
『なんだよそれ...』
『...ちょっと考えてよね、本気で』
『...無理だって...。なんで別れたのか忘れたの?』
『...コウがもう女性として見てないのかなって思って...ちょっと引いたつもりだったのよ...。やっぱりコウじゃなきゃダメ...』
『んな事言われても...』

もう吹っ切れたのに、また復縁とか考えてもなかったこと。悲しそうに言う美奈子にちょっと心が痛むのも事実。
それにしても、こんな人がいる所で言われても...。


そんなことを思うコウの気持ちは知らず、愕然とする。
断るつもりもなさそうで...。家を出るまでは幸せピークだった自分の頭に冷水がかかる気分。

だから、構わないでって言ったのに。
泣きたい気持ちよりも、自分の甘さに腹が立つ。彼女居ないわけないし...。むしろお似合いだし。甘かったなー。いい歳して何してんだろ。
溜息をつきながら、もういーや、と、別の出口から出ていく。


なぁ、あの子綺麗だったよな?
そうそう、あのカウンターにいた子だろ?!めちゃくちゃ綺麗だよな!
1人だったしなぁ?声掛けたいけど、俺らじゃ相手にされないかもなー。
あーそれはあるかもな...。

そんな会話をする若い男3人が脇をとおりすぎる。みちが遅いのもあり、嫌な予感がする。

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