守ってくれたのに、なんだか、コウさんのとこに行きにくくなっちゃった...。
『はぁ...』
溜息をつきながらも、頼まれている仕事をこなし、田丸さんに説明する。

『これが、佐川さんと私の意見です。効率を考えると、方法としては悪くないと思い、提案しています』
『...うーん、でも、これじゃあ期限切れちゃうのあるでしょう?!』
『切れても構わないと思いますよ。遊んでる分ですし。むしろ遊んでるものは後ろに回していけば、次年度楽です』
『...でも、切れちゃうのはダメでしょ』
『切れても誰も困りませんし、壊れもしませんよ』
『...いや、だめだね』
『何故でしょうか?』
『今までは切れることなく替えも用意してたんだから、できるよね?!』
『...今まで通りにされたいと?』
『そうだね。理解できない』

『はぁぁぁぁぁぁ...』
特大のため息しか出てこない。クソっと心の中では蹴りを入れているが、職場でそれはできない。

『...』
『??』

視線を感じて複合機の方に目をやると。
書類を持ちながら、私を見ているコウさん。ちょっと怒ってる...。

パッと見は変わらないが、シルバーフレームのメガネの奥から、力の強い目がモノを言っている。

田丸さんにバレないように、紙で隠しながら、
『コッチこい』というように、指で合図される。
何か怒られることした?!とヒヤヒヤしながら、コウさんが向かった先にバインダーを持ちながら向かう。

シマをひとつ越え、さらに奥のシマの書類棚の所で、むーっと難しい顔をしたコウさんが待っていた。

『...ど、どうされました...?』
『どーもこーも...』

普段よりツートーン程低い低音。はぁっとため息をついてるのに、顔を見れば少し表情が和らぐ。

『説明したんだろ?』
『あ、田丸さんに?しました』
『で、どうなった』
『...理解できないと言われました...苦笑』
『はぁ?!』
『しっ!しーっ!!』

声が大きいと、慌ててコウさんの口元に人差し指を当てる。

『...むぐ...。すまん』
『いえ...でも、例年通りが良いそうですよ。一応、最悪のパターンを考えて作ってはありますが...。出したくないですねぇ...』
『だな...。なんなんだ、まじで...』

むぅ、と俺の唇にあてた人差し指を、自分の唇に持っていき、考え込んでいる。考える時のくせの様だが、その仕草はちょっとドキッとする。

『俺からも説明するから、少し待ってろ』

うーんと少し屈んで考えていたみちは、鋭く奥二重の目線を見上げて寄越す。
『多分無理ですよ。頑固すぎますもの』

棚に寄りかかりながら、笑ってしまう。
『頑固なのはわかってる。まぁ、俺の意見でもあるんだ。少し待て』

ポンポンと項垂れる頭を撫で、みちのバインダーを奪い、田丸さんの元へ向かう。

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