溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「莉緒は大袈裟なんだから」


眉を寄せて笑う表情はとても綺麗で、同性なのにドキッとしてしまいそう。


「だいたい、ここに来る時はふたりとも日替わりプレートしか頼まないでしょ」


当たり前のように言われたけれど、私が先に着いていたとしてもオーダーしておこうとは思わない。
もし、そうするとしたら、きっと電話やLINEで確認を取らないと不安になるだろう。


「それでも助かるよ。お腹ペコペコだったから、一秒でも早く食べられるのが嬉しいの!」

「営業部は、相変わらず大変そうだよね」

「大変って言うより、私が仕事できないんだよ……。他の人たちはどんなに大変そうでもちゃんと熟してるし、みんな私みたいにアタフタしてないし」

「はいはい」


自分の出来の悪さにため息混じりに落ち込む私を、多恵がまた始まったと言わんばかりに苦笑して見ている。
こういう愚痴はもう口癖のようなもので、彼女は弱音を吐く私の扱いをよく心得てくれているからありがたい。

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