【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
診察室と白衣の先生

その日の午後はいつもの総合受付カウンターで、予約診療の患者さんの対応をしていた。

「受付番号252番の斉藤さま。斉藤信子さま」

患者さんを呼び出すと、診察券を返して診療科への案内をする。見えなくなるまで見送ると書類を取りまとめファイルにしまい、次の業務に取り掛かった。

──と。急に奥歯に痛みを感じて、右頬を押さえた。

「どうしたの?」

そんな私にすぐ気づいた園枝さんが、心配そうな顔を見せる。

「奥歯が痛くって。お昼にクリームソーダ飲んだからかな」
「何ちんぷんかんぷんなこと言ってるの。それ、親知らずじゃない? 酷くなる前に見てもらったほうがいいよ。ちょっと待ってて」

園枝さんは立ち上がると、バックヤードへと消えた。

痛み止めでも持ってきてくれるのかしら?

右頬を押さえたまま書類に目を落とすと、書類に被せるように一枚の紙がすっと割り込んできた。

「今日は忙しくないし、すぐに診てもらいなさい」
「受診票……」

いつの間に用意したのか、歯科口腔外科の受診が予約されている。これはマズい。

「そんな、勤務時間中ですし、また今度……」
「ダメ。あなたはそう言って、なんでも先延ばしにするでしょ。これは上司命令、さっさと行きなさい」

仁王立ちした園枝さんには、誰も敵わない。近くにいる他のスタッフも、みんな笑っている。



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