【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛

「はぁ」

わたしはベッドにどさっと寝っ転がり、ペンギンを胸に抱いた。

怒涛の一日だった。

どん底の状態から、まさかこんな展開になるなんて思ってもみなかったなぁ。

さっきまでの神永さんとの時間を思い出して、ひとりニヤニヤしてしまう。

うれしかったり恥ずかしくなったりして、狭いベッドの上をゴロゴロした。

そのときペンギンの左手に触れたようで、音声の再生が始まった。

これまで何度も聞いた「好きだよ。恵麻ちゃん」が流れる……そう思っていた。

ん? ちょっと違う。

最初に咳払いが聞こえてきた。そのあとささやくようなメッセージが流れる。

「愛してるよ。恵麻」

「な、ど、どういうこと?」

心臓がバクバクして、メッセージの破壊力にジタバタしてしまう。

ぎゅっとペンギンを抱きしめて、目をつむる。手探りでもう一度再生する。そしてもう一度……。

耳に心地よい、彼の愛のささやきがわたしを幸せにした。

やっぱり神永さんにはかなわないな。

これから先もきっと、彼に翻弄され続けるだろう。

けれどそんな彼が魅力的で仕方ながない。

きっと言葉ひとつでわたしをこんなに幸せにしてくれる人は、彼しかいないと思う。

ふと目を閉じると模擬挙式のときの光景が目に浮かんだ。

きっと一年後、同じ式場でわたしたちは本当の永遠の愛を誓っているはずだ。
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