久しぶりに出た部屋の外は、なぜか自分を置き去りにしているように見えた。

「お昼は社内だったら、高鷹部長たちと一緒でいいよ。
ちゃんとお別れを言っておいで。
愛乃の口から僕と結婚するって言った方が高鷹も諦めるでしょ。
終わったら迎えに行くから待ってて。
僕も高鷹部長に挨拶しておきたいからね。
夜は退職祝いに食事に行こう。
ホテル、取ってあるから」

「……うん」

車を運転しながら楽しそうにひとりで話している春熙に、曖昧に笑って返事をする。
再び窓の外に目を向け、気づかれないようにはぁーっと重いため息を吐き出した。

「どうかした?」

ちらりと春熙が、ミラー越しにこちらへ視線を向ける。

「ううん、なんでもない」

「そう?」

ことさら明るく笑って振る舞った。