あれから父と春熙の言いつけに逆らいさえしなければ、経営戦略部で働かせてもらえた。

「愛乃ちゃん、打ち合わせ兼ねてみんなでお昼いくけど、一緒に行かない?」

パソコンのモニターに両腕をのせて、橋川くんはにかっと人なつっこい笑顔を浮かべた。

「あー、今日ははるくんと約束してるから……ごめんね?」

今日は、じゃなくて、今日も、だけど。

「残念。
また今度ねー」

「うん、ごめんね。
打ち合わせの内容、あとで教えてくれる?」

「もちろん!」

おどけるように敬礼をする橋川くんに私も笑い返す。
彼がいなくなると俯いて、はぁっと小さくため息をついた。


ここに来てひと月たち、ずいぶん周りとも打ち解けた。
橋川くんなんて最初は橋川さんって呼んでいたけれど、同期なんだからって押し切られて呼び方を変えた。