そもそも一家に何台も車があることに驚く。
"普通のコンパクトカー"と言ったけれど、私の思うコンパクトカーと、彼の言うコンパクトカーは違うかもしれない。

「今からデートだからね。椎名さんを楽しませてあげられるように頑張る」

いつになく緊張しているような彼を見て、私も釣られてドキドキしてしまう。

 そんなことをさらっと言っちゃう小野寺くんが憎い。何気ない言葉なんだろうけど、あなたからそんな言葉を言われたら、どんな女の子でもキュンとしてしまう。

 私の時間が欲しいと言ってくれた小野寺くんだけど、きっとたくさんの女の子たちは、小野寺くんの時間が欲しいと思っているはず。
 そんな凄い人が私と一緒に過ごしているなんて……なんだか夢のよう。

 助手席から小野寺くんの顔を見つめていると、ふっと目が合う。その瞬間に微笑みかけられて、私は頬を熱くする。

 卒業して以来、好きだった気持ちは落ち着いていたはずだったのに……。

 こうして一緒に過ごしていると、再燃してしまいそう。いや、もうしているかも。

 昨日からずっと小野寺くんのことを考えて、熱に浮かされているみたいだ。