カウントダウン~君にもう一度、初恋~

過去のこれからのこと









相変わらず愛莉奈の運転は

見惚れるほど無駄が無く美しい。









昔から何でも効率的に行動することが多かったけど

今でも変わっていないみたいだ。






何の問題も無く駐車場から出て右折すれば

和風な堀と木々が見える。




そこだけタイムスリップしているような...




周りの高層ビルたちとの対比で

とても尊い感じがする。












「...話っていうのは私たち4人のことなの。」







和風とは違う、別の時代に来たかのような

赤レンガの建物を横目に話し始めた。







「4人っていうと・・・高校の?」



「うん、そう。」





4人っていうのはおそらく





俺こと『青木 久』



家の道場で雑務をする『東雲 悠斗』



家を継がず化粧品会社に勤めている『黒瀬 愛莉奈』




そして『糸川 和葉』のことを指しているんだろう。





この4人は高校で出会い、いつも一緒にいた。





「4人っていうか...


ほぼほぼカズのことなんだけど...




もう、六年も経っちゃったじゃない?



それで...」


「もう一回調べるって?」







...六年前、和葉は忽然と消えた。




といってもファンタジーとかじゃなくって

ある日を境に学校に来なくなった。



その日以来、噂すら一切聞かなくなった。





「...そうしたいとは思ってるんだけど


去年と変わらず忙しいじゃない、私たち。


だから簡単なとこから調べたいのよ。





でも、本とかからはもう出尽くした気がして...




次になにをしたらいいのか分からないから

それを相談したかったの。」








「えっと...悠人は?




あいつには相談したの?」








「ハルは...道場やってるじゃん。





私らより忙しいと思って話してない。」








...ん?



...俺は忙しそうじゃないってことか?






「...それにハルに相談するのなんかイヤなの。」









うっわ...


脈なしどころか高校のときから離れてね...?


やっぱ遠距離ってムズイもんだな...




「その点ヒサは、口堅いし嫌そうな顔しないし

頼みやすいの。」








...俺はそんな風に映ってるのか。






「...だからかぁ。」






仕事でもなんでも

女から頼み事が多いのはそのせいか...





「...マダムキラーの理由?



それだけじゃないと思うけど...


ま、だいたいそれかもね。」




そんな理由なら早々に変えられないよ...



もうしばらくあのオバサンたちに

付き合わなきゃならないのか...





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