やさしくしないで ～なぜか、私。有能な上司に狙われてます～

「友香まだ時間かかるって言うから、先に行って場所取っておくか」
「うん」
久保君からお昼を食べようというメッセージが来てた。
オフィスから逃げ出すいい理由になったから、すぐに行くって返信した。
以前は、先に行っててと場所取りをしてもらっていたのは、私の方が多かった。今度は、彼らを頼いらないように心がけよう。
前のように、久保君とロビーで待ち合せる。
町田部長は、本社から来た人たちと打ち合わせをしていて、メモだけ残して先に出てしまった。二人きりの職場はやりにくい。

「やあ、お待たせ」エレベータから出て来た人たちの中に、久保君がいた。
「来たばかりだから、待ってないよ」
「なら、いいけど。いつものとこでいい？」

「うん」歩き出した時、横を町田部長が通り過ぎていこうとした。
「あっ」久保君が部長に気が付いて、声をかけようとした。
私は久保君が部長も誘うのではないかと思ったので、久保君の上着を引っ張った。
久保君は私に止められて部長に声をかけるのを止めた。

町田部長は、私の行動をじっと見ていた。彼は何も言わなかった。
「お一人ですか？」久保君が声をかけた。
「ああ、その辺りを少し散歩してから帰るから。気にしなくていいよ」
「はい」

「いいのか、あれで」
「うん」しばらくはね。