分け合う体温
「理人~!」

学校から帰って来た私は、靴を脱ぎ、家の中に入った。

「帰ってる?理人?」


一つ下の弟の理人とは、違う高校に通っていた。

幼い頃から、いろんな話をして、一緒に泣いたり笑ったり。

姉弟と言うよりも、まるで親友みたいな関係だった。


「なに?由乃。」

だから年下だって言うのに、理人は私の事を名前で呼ぶ。

生意気に、二階の廊下から、顔を出した。


「今日、お父さんとお母さん、いないでしょ。買い物に行って来てよ。」

「なんで、俺が?」

「私は、洗濯物を片付けないといけないでしょ。」

そう言って私は、リビングに寄り、カバンをソファに投げ込むと、庭に干してある洗濯物に向かった。

「だったら、俺も手伝うよ。」

二階から理人が降りて来て、洗濯物を片付け始めた私の横に立った。
< 2 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop