そばにいさせて～クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐

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「もう帰っちゃうの？」

祖母が今にも泣きそうな顔をして私の手を握る。

「ごめんね。明日は仕事だから」

「そりゃ仕方がないねぇ。またすぐに帰っておいで」

「うん。すぐ帰る」

私は笑顔で頷くと、祖母の手をそっと包んだ。

「また何かわかったら連絡するわね」

母も微笑みながら、私の肩に手を置いた。

祖父はお昼の仕込みに忙しく、厨房から顔を覗かせて手を振っていた。

私の大好きな場所、家族。
またしばしのお別れだ。

ここがあるから、きっと私は安心して外に飛び出していけるんだろう。

駅までのバスに揺られながら、赤く染まった紅葉を感傷的な気持ちで眺めていた。

また明日から私の慌ただしい毎日が始まる。

命の恩人の彼とは、もうすぐ出会えるだろうか･･････。

ふと、GMの横顔を思い出す。昨日はあれから無事帰れたかな。

頂いたかわいいワンピース、それに酔っ払った私を泊めてくれたお礼、ちゃんと言わなくちゃ。

電車を乗り継ぎ、晩御飯の買い物をして家に着いたのはすっかり薄暗くなった夕方18時前だった。

自分のアパートに着き、バッグからルームキーを取り出し玄関の扉の前に立つ。

「･･････何、これ」

すぅっと冷たい何かが背中を流れ落ちるような感覚。

そのいつも見慣れた玄関の扉は、見たことのない扉になっていた。

大きく『×』と赤いチョークで書かれた扉は、まるで何かの映画のワンシーンを観ているようだった。

一体誰がこんなこと？

温かい家族の笑顔がふっと浮かんで、すぐに遠ざかっていった。