【紫・超短編】ゆうれい帆船(洗脳夢より)
帆船の名は?
帆船のデッキで、どこかコミカルな青年が連れの淑女と会話する。「どうしても、この優麗帆船で、君を僕の生まれた国に、連れて行きたかったんだ」熱いまなざしをおくると、頬を染めながら挑む様に、彼女は言った。「ねぇ知ってる」この帆船、実はもうひとつの呼び名があって、それを知ったら、うつしょに戻れなくなるんですって、その名前は「幽霊帆船」ですって
彼女の言葉を、理解しようとする、僕の中の頭の進行速度で、帆船のあちこちが、幽霊として消えてゆく。僕は彼女を抱きしめながら、必死で助かる方法を考えた。バカみたいなその様もコミカルに写ったかもしれない。それでも幽霊帆船のあらゆる部分ははどんどん、うつしょから消え行こうとする。
そして僕らは足場を失った。
薄れゆく記憶の最中、彼女は「幽霊」を信じてないから、その名前を知ってるのに、こうは成らなかったんだ、と想った。そして意識を失った。

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私達平成の姉妹三人は物置小屋でボロボロだけど、豪華な造りの本を手にしていた。

「ゆうれい帆船」という名の本を・・・



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