ヒロイン失格者達のお茶会


女の子は誰だってヒロインになれる。


そう誰かが言った言葉は女の子達の心に芽吹き、自らヒロインを目指して日々努力を重ねていく。


私もそんな努力をしている一人の女の子だ。


まあ……女の子と言っていいのか分からないけれど。


晴れた青空の下、私は今日も茶菓子が入ったカゴを片手に茨が道を塞いでいるような細い道を歩く。


レディがこんな所を歩いているなんて、傍から見たら引かれるのは当然だろう。


でも引かれてもなんの支障もないのが、私という存在なのだ。


道無き道が少し開けてきたと思うと、お目当ての古い屋敷が見えてきた。


15時を知らせる鐘の音が、茨丘の方から聞こえてくる。


その音に足を急がせながら、その屋敷の扉へと向かう。



「アイパーリー!扉よ開け!」



そう扉に向かって唱えると、扉は独りでに開き私を迎え入れる準備をしてくれる。


乱れた真っ黒のドレスをそっと整えつつ、屋敷の中へと入り迷わず中庭にあるコンサバトリーへと向かった。






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