うそつきペン
バレる
それから休憩時間が終るチャイムが鳴るまで、トイレの中からは怒鳴り声が聞こえてきていた。


ツグミは不思議そうな顔をしていたけれど、どうにか話題を変えてトイレの中の出来事には触れさせないようにした。


「朱里ちゃん怒鳴り過ぎ」


ツグミが教室へ戻った後、トイレから出て来た朱里ちゃんへ向けてそう言った。


「ごめんごめん、でもスッキリしたぁ!」


そう言う朱里ちゃんは本当にスッキリした顔をしている。


続いて出て来た春子は青ざめていたけれど、もちろん声なんてかけない。


全部春子の自業自得だ。


朱里ちゃんが怒ったおかげで、隆二ももう春子とは関わらなくなるだろう。


いい気味……。


あたしは密かにほほ笑んだのだった。
< 171 / 281 >

この作品をシェア

pagetop