クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
ここから始まる私達の恋愛


そしてまた最初に戻る。

私は最初に彼らと会ったホテルのカフェで集合した。
長田さんの隣に私が座り、テーブルを挟んでその向いに大下さんが座る。

大下さんはため息を重ね、悲壮感漂う表情で水の入ったバカラのグラスをもて遊ぶ。

今日もバカラは光を反射し、キラキラ輝いていた。

「僕じゃダメですか?」
甘い声と甘い顔
高級ホテルの御曹司は私の顔を覗き込むけど

「絶対ダメ!」
私が返事をする前に彼が冷たく言い切った。
夢も希望もない言い方だなぁ。

「わかりました……では、これで……」

コーヒーが運ばれて間もないのに、大下さんはまたタメ息をして立ち上がる。

「コーヒー代は御曹司の支払いじゃないの?」
細長い革のケースを指さし彼が言うけど

「サービス料50%ほど追加してます。ごちそうさまでした」
大下さんはサラッとそんな事を言い、彼は「サイテー」と苦い顔をする。

「玲菜さん?」

「はい」

「幸せになって下さい。長田君が嫌になったらいつでも待ってます」

「ありがとうございます」
「その返事やめろ」

私達は何も変わらない。
始まりこそ色々あったけど、それから過ごした三人の時間はとても楽しくリラックスした時間で、目に見えない絆のようなものもあり……大人になると中々作り出す事が難しい貴重な仲間だった。
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