ただ、只、模範的な日常。

第7話ー続けば良いなー

『なんとなんとなんとおぉー!!
あの、大大大イベントの時期に成ったあぁー!!』
『ウエェェェイ!!』』』
『その名も…
運動会だあぁーー!!』
『イエェェェェーーーーーイ!!』』』
クラスの騒ぎぶりは最高潮。
運動が好きな人の多いこのクラスにとって、この時期は大好きな時期なのだ。
その理由こそが、運動会。
運動会なんて、当日だけじゃんと思う人も多いが、うちのクラスは違った。
そう、大嫌いな勉強という名の地獄が、保体(体育)と言う名の天国に生まれ変わるからだ。
運動会の練習として、保体の授業は圧倒的に増える。
それで、普通の勉強(授業)が消えるのが、喜ばしいらしい。
私にとっては、どうせ、その穴埋めで、運動会の後に50分授業や、普通の授業が多くなるのだから、どうでも良いのだが、うちのクラスの人達に言わせれば、『そんな悪夢…忘れさせてくれよおぉー…少しの間だけ気が楽なんだから、良いだろー?』と言う事らしい。

そんなこんなで私は、徒競走をやる事に成った。

『徒競走の人はこっちに並んでー!
男女で2列ずつ作って4列にして腰下ろして待っててー!
他の競技の方に行ってくるからー!』
と、二人居る保体の先生の、片方の女の先生がそう言う。
私達はそれに従って4列に成って腰を下ろす。
すると、
『あ、知花ちゃんも徒競走なんだー?
ヨロシクー』
と、私が下を向いていたので、顔を覗き込みつつ隣から海がそう、言ってきた。
『あ、海も徒競走なんだ』
『うん。
お互い頑張ろーね』
『うん。
て言うか、先生遅いね』
『今は玉入れの方の指示してるし、もう少し戻って来ないでしょ』
そう言いながら、海は遠くに居る先生を見る。
『戻ってきても、指示したら、直ぐ、どっか行くよね』
私もつられて先生を見ながらそう言った。
『先生忙しそー。
俺、大人に成ったら先生の仕事はしたくないなー』
『そもそも出来ないでしょ』
『そうでもないよー』
『成績、隣だから、知ってるけど?』
『先生…何でテストを交換して丸付けさせるの?…』
分かりやすく、海が落ち込んだ。
ホント、海は軽薄だけど、子供っぽくて面白くて、一緒に居ると楽しい。
『自分の良いように採点しないためでしょ』
『もー…
知花ちゃんはマジメ過ぎ』
『海が軽薄過ぎるだけだよ』
『知花ちゃん。
案外、俺相手の時だけ強気だよね』
と、海が不服そうな顔をすると、
『ふふっ…そんな事無いと思うけど?』
私は、ついつい笑ってしまう。
『そんな事絶対ぜーったい有るからー!』
『ふふっ』
こんな日々が続くと良いなと思っちゃったんだ。
何て、海には言えないな。





















































この時の私達は、こんな日々が続かない事をまだ、知らない。
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