初めまして、大好きな人
MEMORe:





目を開けると、見知らぬ天井が広がっていた。


頭がぼぅっとする。


目だけを動かしても
少し汚れた天井しか見えてこない。


仕方がないので起き上がることにすると、
起き上がった途端に頭痛に襲われた。


顔をしかめて頭を押さえる。


しばらく目を瞑って耐えていると
ようやく痛みが治まった。


目をゆっくりと開けて、辺りを見渡す。


見知らぬ部屋。


なんの飾り気もない、だけど
落ち着いた感じの六畳くらいの部屋だった。


部屋は白を基調とされていて、ある程度整っていた。


さて、ここはどこ?


私は車で寝ていたはずなんだけど、
気付いたらこんな部屋で寝ていた。


訳が分からなくて首を傾げる。


お父さんやお母さんは?


私たちは旅行に行くはずだった。


あれは夢だったのかな。


夢だったとしても、今
自分の部屋でもない空間にいるのはおかしい。



ということは、ここも夢の中なの?


頭をぶるぶると振って、
もう一度部屋を見渡す。


ベッドから離れて、
部屋の中をウロウロした。


タンスの中を覗いてみると、
見覚えのない服ばかりが入っていたけれど、
系統は私の好きなものばかりだ。


次に本棚を見た。


通っている高校の教科書が並んでいる。


そしてクローゼットを開ける。


見覚えのないものの中に、
お気に入りのワンピースがある。


これは確かに私のものだ。


じゃあここは私の部屋?
引っ越しなんてしたっけ?



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