あの日交わした約束

エピローグ

「能登君…少しいいかな？」ととある人物は徴収された。

「はい、何でしょう？社長」と能登は言い、社長室の社長の前に立っている。

ここはとある芸能事務所、『アクラス』のオフィスだ。

「こないだ君は俺に何で会社を辞めてまでここを立ち上げたのかと聞いたよな？」と社長は言う。

「はい…」と能登は言いながらもﾌﾞﾂﾌﾞﾂ小さな声で何かを言う。

「実はな、重役として、いつもウチの為に働いてくれてる君にだからこそ、ぜひこの話を聞いてほしくてね」と社長は笑った。

「とりあえず、座ってくれ」と社長に促されたのは、テーブルとソファーが置かれた小さな商談スペースで。

能登は座った。

社長は二人分のコーヒーを入れて、能登の真向かいに座った。

「俺がまだ23ぐらいの時だった。あの頃は俺もバリバリでそれなりに充実した毎日を送ってた。そんな矢先、俺の人生をを変える大きな番組があったんだ。とあるオーディション番組…ジュニアドラマーオーディション、覚えてるか？」と社長は言う。

「はい。確か…全国から数十名が集まったキッズドラマーのオーディションでしたよね？」と能登。

「そうだ。その時、一人だけ別格のやつがいたのは聞いたことあるか？」と社長

「ええ。確か…篠崎恵美里さんでしたっけ？可愛い女の子でしたよね」と能登は言った。

能登は覚えていた。あの番組の事も。彼女の存在も。

「とても小学生の女の子とは思えないほど、堂々としていたし、誰も加えないアレンジに加え、ワイルドかつ繊細な弾きだった。俺は一瞬で心を奪われた。天性の才能だと本気で感じた。この才能を表に出すべきだと。直感にそう思った。だから俺は審査員特別賞とグランプリを授与した。そして、彼女に個人連絡先を渡して、『将来一緒に仕事をしよう』と話した」と社長は言う。

「なるほど…そのためだったんですね！彼女をウチからデビューさせるため、ここまでの準備を整えてきたと言うことですね」と能登はハッキリと理解した。

「ああ、あれから実は彼女とは交流を持っていてな。今では年の離れた親友みたいな関係を築けてるんだよ」と社長は笑った。

「そうでしたか…ということは、ここからが本題ですね？」と能登は長きに渡り、社長と苦楽を共にしてきただけあり、かなり察しがいい。

「女子高生になったアイツの初舞台だ。文化祭の日、俺と一緒に見に行って欲しいんだ」と社長は言った。

「わかりました‼日程押さえときますね。詳しく教えてください」と能登は言った。

「中学時代、一緒に組んでたメンバーとデビューするとばかり思ってたんだがな。裏切られたらしい。待ってると言っていた先輩が、別のドラマーを入れて、組んでしまたっらしい。そして腹いせに彼女は違う学校に進学したものの、もちろん覇気は完全に抜けきっていて、やる気を無くしていた。ドラムを叩く気を無くしたらしい。だがな、俺がそんなの納得するわけ無いだろう？だからもう一度、最高のメンバーに出逢って、輝いてくれと背中を押した。そしたら、偶然にも…いい人等に出逢ったらしい。楽しくて仕方ないと言っていた。だから俺もかなり楽しみにしているんだよ」と社長は嬉しそうに笑った。