私の目の前に置かれているのは、ひと口分の玄米のおにぎりに、鶏のササミがのったサラダ。
「いやいや! いくらモデルさんとはいえ、それじゃ倒れちゃいますって! 成人女性の一食分の摂取カロリーに、 まるで足りてないですよ」
 一食分の摂取カロリー? そんなものを適正に摂取していたら、あっと言う間に太ってしまう。
 それではモデルというこの商売が、成り立たなくなってしまう。
「大丈夫よ、これが私には適量なの」
 ファッションショーというのは、通常の撮影よりもはるかに長丁場の体力勝負。そんな今日の昼食だから、実はこれでもいつもより破格に多い食事量なのだ。
「うーん、それならいいですけど。……だけど茉里奈さん、どうか体にだけは気をつけてくださいね? 茉里奈さんは私の憧れなんです! 私、これからもずっと、茉里奈さんの活躍を応援してますから」
「ふふふっ、ありがとう」
「それじゃ茉里奈さん、私ここでお弁当広げるのなんだか忍びないんで、あっちで食べてきますね!」