無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
曖昧



季節は5月の下旬。

高校2年になって1ヶ月と少しが過ぎた。



いつもの放課後。


変わったといえば、廊下の窓から見える桜がすべて散ってしまい、今は緑の葉が茂っていることくらい。



廊下の窓から季節の変化をボーッと観察していたわたし鈴本冬花は、ホームルームが終わって、家に帰ろうとしていた。


教室を出て、いつも通り廊下を1人で歩いて、下駄箱へ向かう。


下駄箱でローファーに履き替えて、
帰ろうとしたその時だった。



スカートのポケットに入っていたスマホが短く音を鳴らした。


まるで狙って鳴らしたかのように、
タイミングが絶妙だ。



その音を聞いて、ため息が漏れそうになるのはいつものこと。

< 1 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop