無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



「や、やだ……、返して……」

「なんで?」


「さ、寒いから……」


すると、夏向はなんの迷う様子も見せず、自分の着ているカーディガンを脱いで、それをわたしに着せた。


「これでいい?」

「よ、よくない……っ」


こんなの無理……っ。
夏向に包まれているみたいで、心臓がバカみたいに音を立ててしまう。



「わ、わたしのカーディガン返してよ……」

「やだよ。それ着てればいーじゃん」


「だ、だったらいらない……。これ脱ぐ」

「ダメだよ。ブラウス1枚とか風邪ひく」



急に優しいところを見せてくるあたりがほんとにずるい。



「それ、冬花に貸しとくから」


そしてわたしから離れる寸前、
耳元でそっと……。



「今度……俺の家に返しに来て」




悪魔のささやきが鼓膜を揺さぶった。

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