紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
野崎家へ嫁いで来たセンさん。
縁談話を承諾してからひと月半。  
私は明日、野崎家へ輿入れする。このひと月半、花嫁修行は勿論のこと野崎家が薬種問屋と言うことから、私なりに薬の事を勉強したりした。一度、母上に「野崎さんの顔を拝見しに行きたい」と、言ったが、そんな下品な事はするもんじゃないと、一括された。
 
藤田屋は、有名な豪商とういだけあって輿入れ道具もそれは、それは、豪華なものだった。

私はそこまでしなくても良いと、言ったのだけれど母や、父、何より奉公人や、屋敷の使用人達が盛り上がってしまっていた。

特に仲良くしていた、メイドの藤枝も「私達の自慢のお嬢様の門出なのですから、我々使用人一同当日は最大限の力を尽くし、お嬢様の美しさを引き立たせて見せます!!」と、息巻いていた。

「うん。ありがとう。だけど藤枝やみんなと離れるのはとても寂しいわ。今まで沢山助けてもらったから、これから一人で大丈夫かしら。」

そう、告げると藤枝は涙目になりながらもニッコリと笑った。

「大丈夫ですよ、お嬢様。お嬢様は誰からも好かれる、魅力のあるお方です。」そう言ってそっと、背中をなでてくれた。

いよいよ、明日となると寂しくなって色んな事を思い出してしまいそうになるからいけない。

今日は、早く寝よう。明日になれば、私は野崎 センになるのだから。
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