ただ愛してるだけ
第5章 お手上げ
私は、電話での慶人君の言葉を、思い出していた。

- どうして? ただ愛し合っているだけなのに -

私も律子さんには、同じ思いを抱いた。

でも、慶人君からその言葉を聞いて、律子さんの気持ちが分かった。


彼はまだ、若過ぎるのだ。

周りが見えないくらい、恋愛にのめり込める年代なのだ。


そうなると、限界なのかもしれない。

私はもういい大人で、恋愛一つに構ってはいられない。

そんな私が、慶人君の相手に、相応しい訳がない。


別れよう、彼の為に。

彼なら、傷ついてもまた立ち直って、やり直す事ができるわ。


そして私は、スマホを取った。

電話は繋がらず、私は5コールで切った。

「繋がらなかったか。」

ソファに横になって、慶人君との日々を思い出していた。
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