恋する耳たぶ

期待を込めて見上げた先には、色の白い、少し中性的な雰囲気のある男性の横顔があった。

服装もシンプルで、綿素材の清潔そうなシャツがよく似合っている。

繊細なフレームの眼鏡のせいか、少し神経質そうでに見えるけど、笑ったら、がらりと印象は変わるのかもしれない。

そういえば、以前、ダメな男にばかりひっかかっている友達に、

「男を見るときは、まず、顔じゃなくて、まず、耳を見た方がいいよ」

と、アドバイスしたら、

「耳を見て、相手が既婚者かどうか、浮気性かどうか、わかるの?」

と、返されたことを思い出す。

あんたと違って私は耳フェチじゃないの、とも。

確かに、耳だけを見て、その人の全てがわかるわけじゃない。

けれど、きちんとした生活を送っているかどうかとか、お風呂に入った時に髪や体だけじゃなく耳まで洗っているかどうかとか、その人の一部くらいはわかると思うのだ。

そしてそこから、丁寧な暮らしをしているかどうかくらい、その他の情報と合わせれば、なんとなく想像がつくんじゃないかなぁ。


私はそう思うのだけれど。


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