「なにこれ、ウソばっかじゃん」

私はそう言って口を尖らせた。

「ビール日課じゃないし。たまにだもん。あと、執筆はケータイ派だし。あと喜多野課長に見とれたりしてないもん。それと私、こんなにアンアン喘いでないもんっ」

彼は何も言わず、楽しげに微笑んでいる。

「てゆーか名前。よく考えたよね、こんな漢字。でも漢字だけ変えたって意味ないでしょ。フルネームまんまだし。それに」

それに後半なんか、嘘だらけだ。

旅行から帰ってきて、大河が音信不通になって、妊娠して、コタローくんが大河だって気づいて……そこまではいい。

でもそこから先は、嘘だらけ。

この物語では、私は病名も入院先も知らないまま大河を待っているけれど、実際は違うのだ。

私はちゃんと彼から病名を聞かされたし、入院先も教わって毎日毎日通ったもの。

それに、未婚の母になるかも、なんてくだりがあるが、私と大河は彼の入院中に、ちゃんと入籍しているのだ。

「もう、脚色し過ぎ」

それに、大河は手術なんてしていない。

それに──。


「……あなたはベビーに会う前に、逝ってしまったでしょ?」

写真の中の彼にそう語りかければ、彼が「あれ、そうだっけ?」ととぼけた顔で笑った気がした。