偽物の恋をきみにあげる【完】
Chapter2
年末年始は実家に帰省して過ごした。

帰省と言っても、電車で30分くらいの距離だが。

近いくせに、普段あまり実家に帰ることはない。

近いからいつでも帰れるという気持ちが、逆に足を遠のかせるというのもあるけれど、そもそも帰っても特にやることがない。

私は中学までもう1つ隣の市に住んでいて、高校の3年間だけを今の家で過ごした。

高校は都内まで電車通学だったし、だから今の実家の周りには、友達どころか知人も殆どいないのだ。

帰って来ても、毎度家でゴロゴロするだけ。

まるで鎖国された異国だ。

「もっと頻繁に帰って来なさいよ。心配なんだから」

母は言うけれど、私だって、あの引越しさえなかったら、きっともっと頻繁に帰るのだ。

なんて言うわりに、懐かしいみんなに会える成人式は欠席して、当時出来たてほやほやの彼氏とスノーボード旅行していたけれど。

そういえば、ソイツと2年付き合って別れて以来、ずっと彼氏がいなかった。

で、3年の孤独な月日を経て、やっとできた彼氏が、ネット彼氏とゴッコ彼氏か。

前途多難過ぎる。

私って恋愛運ないのかも、恋愛運向上のお守りでも神社で買ってこようか。

お雑煮を啜りながら、新年早々そんなことを思った。
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