トリップしたら国王の軍師に任命されました。

(私は先人の知恵を借りて、舞台を用意しただけ……)

 そんなこととは知らず、ジェイルは誇らしげにアスカを抱き寄せ、髪にキスをした。しかし、赤らむはずの頬はいつもより青白い。

「アスカ……?」

 アクアマリンの瞳がのぞきこんだ瞬間、明日香の膝からがくりと力が抜けた。ジェイルは咄嗟に彼女を抱きとめる。

「アスカ、アスカ!」

 何度呼ばれても、彼女は返事をしなかった。明日香はジェイルの腕の中で、意識を失っていた。

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