夏のソラの雪
愛を掴む手
あの日以来、




部活にも屋上にも顔を出すのをやめた。




夢中になっていたものが一気に無くなって、




また、元の生活に戻った。



「ねぇ……愛与?」




制服のシャツに袖を通しながら、俺はさっきまで自分が居たベッドを振り返った。




裸のまま、ベッドに肘を付いて寝そべる女がタバコをふかしてる。




一昨年までサッカー部のマネージャーだった二個上の先輩。




同じくサッカー部の先輩だった人と遠恋をしている癖に、





こうやって俺を平気で誘ったりしてんだもんな。





そりゃ、




真雪みたいな清純そうな女だって、男を試したりしてもおかしくはない……。




そうでも思わないと、気持ちも晴れてはくれない。





「アンタさ、好きな娘でも出来た?」




いつの間にか体勢を変え、ベッドの上に座り込んだ先輩がにっこり笑ってこっちを見てる。





「……なんで?」




そんなことは一言だって話してない。




他の女の匂いだってさせてない。




眉間にシワを寄せて首を傾げた俺に、




「抱き方が、なんか優しい感じだったから」
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