かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
プロローグ
ローテーブルの上に置いていたスマホがブブブブッと鳴動し始めた。

なかなか鳴りやまないところを見ると、どうやらそれは着信のようで。

夜の八時半、早めのお風呂タイムを終え、ラグマットの上に座り込んで髪を拭いていた私は、タオルを頭から被ったまま、身を乗り出してディスプレイを確認した。

相手の名前は……ええと……『神楽颯志(かぐらそうし)』。

――って、ええ!?

予想もしていなかった人物からの着信に、思わず身をのけぞらせ、ラグマットの上に尻もちをついた。

自分を落ち着かせようと押さえた胸元は、高鳴る鼓動のせいでせわしなく上下している。

私の応答を急かすように鳴動し続けるスマホを、恐る恐る手にとって、顔の前でしつこいくらいにその名前を確認した。

見間違いなんかじゃない。相手はあの颯志くんで、今この瞬間、私に電話をくれているらしい。

緊張で一気に手が汗ばみ、唇がわなないた。
< 1 / 218 >

この作品をシェア

pagetop