かりそめ婚!?～俺様御曹司の溺愛が止まりません

第二章 半信半疑のわけあり婚

一週間後。私は颯志くんとともに彼の実家のお屋敷を訪れた。

西洋風の鉄製の門扉をくぐった先に、レンガ造りの庭園と大きな噴水があって、中央にはバラ園が、その周囲は美しく手入れされた木々や花々が彩っている。

実際のお屋敷があるのはその先で、まさに貴族が住む洋館といった佇まい。

大きな両開きの玄関門をくぐると、二階まで吹き抜けになった広いエントランスホールがあり、真っ赤な質のいい絨毯が螺旋階段の上まで続いていた。

ホールの右には客間、左には通路があり、その奥は食堂やキッチンへ続いているのだけれど、幼い頃の私はよくそこで迷子になっていた。

とにかく花の多いお屋敷で、あちらこちらに生け花が飾られている。

花好きのお母さまがお抱えの華道家に頼んで週に一回飾りつけてもらっているらしい。

使用人もたくさんいて、私たちの訪問に合わせてホールで一列に並び「お帰りなさいませ、颯志さん」と恭しく出迎えてくれた。