Liebe


そうしていると、インターホンの鳴る音が聞こえた。
エリーはハッとして玄関へ向かう。

「ここはお前の家だ」とウィリアムに言われていなかったら、きっと来客の対応をするのも躊躇していたことだろう。

「やっほー」

扉を開けると、そこには群青色の似合う女性が立っていた。
アンナだ。エリーは嬉しそうに破顔する。

「アンナさん、こんにちは」

隣で飛んでいるリヒトにはやはり気付いていないようだ。
後ろの方で階段を下りる音が聞こえる。

「ウィル」

「……何の用だ」

威圧感のあるウィリアムの雰囲気にも、アンナは一切動じない。
目に見えるほどの強い信頼関係があるように思えて、少し胸の奥がちくっとしたような気がした。

「エリー借りていきたいんだけど」

「は?」

眉間に皺を寄せるウィリアムを見て、怒っている訳でないと知りながらもエリーはなんだかドキッとしてしまう。
しかし今の一言は他人事ではない。
エリーもアンナに視線を移した。

「女の子同士でお買い物に行きたいの。いいでしょ?」

アンナが有無を言わせないかのような笑顔をする。
ウィリアムは諦めたようにふっと息を吐いた。

「好きにしろ」

その言葉にアンナは嬉しそうに笑い、エリーに準備をするよう促した。
エリーは急いで部屋に戻り準備をする。

リヒトは扉の近くでふわふわと浮いていた。
寛いでいないということは、買い物にも同行するつもりなのだろう。
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