5年前のセーラー服
不思議な出来事
「あ〜あ、青春ね〜…」

青春ドラマはもちろん好きだけど、見る度に虚しくなる。

私は21歳にもなってそんなことを言っている未練タラタラ女だ

テレビを消して手で顔を隠す。あー、私こんなんで生きてけんのかな…

あることを思い出して頬に涙がつたる。

私、どうしたらいい?辛い、苦しいよ。こんなんじゃやっぱり生きていけない。

でも、こんなことばかり考える自分が情けなく感じてくる。

もーいい!寝る!!

寝ることと食べることが生きがいな私にはそれぐらいしか出来ないのだ。

ベットに潜り込んで目をつぶる。

あ、まずいトイレしたい

私はゆっくりと目を開けると

「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

人が、人が、人がいる。

私は一人暮らしだから泥棒でも入ってこない限り夜にこの家に私以外の人がいるのはありえない。

え、でも待て。この人見た事ある。

セーラー服のポニーテール。え…もしや…

「わ、私ィ!?」
その人はにっこり笑顔でうなずく。

間違いない。

5年前の高1の私だ。だって高校には珍しいセーラー服。そこの名札にはしっかり【1ーB】とかかれていた。

あぁやっぱストレスで幻覚が…

「うっわぁ、21歳の私、独り身なんだ。」

う、それ声に出されると痛い。そして、展開が読めない。

「あのーなぜ16歳の私が?」

さすが私、皆様が知りたがっていることをピンポイントについている。

うむ、さすが私。

「はぁ?そんなの今の現状を予想して過去から来てあげたんだよ!今のままの私じゃ困るからね!」

はぁぁぁーん、何だこの小娘。

いや、これ自分じゃん。変わってないっちゃ変わってないのかも…?

で、この小娘、説明が足りん。何もわかりやしない。

「ねぇ…よくわかんないんだけど!?」

「山野貴裕!」
そう16歳の自分に言われ、思わず口を閉じた。
山野貴裕(やまのたかひろ)、私の元彼だ。
いや、もうずっと付き合っていくつもりだった。
でも、叶わなった。

彼は5年前に交通事故で亡くなっているのだ。
「それが、どうしたのよ…」

後ろめたく私は聞くと、16歳の私は笑顔で言った。
「5年前にタイムスリップして、貴裕に会いに行こうよ!」

「んん…」
私はゆっくりの目覚めた。

あれ、昨日変な夢見なかったっけ?

貴裕にあいにいくとかなんとか言われて、私は迷わず同意した。

なんだ、やっぱ夢じゃん。もう一度布団に入ろうとしたその時だ。

明らかにここは私の実家だ。

それも、私の部屋。それもそれも壁にはセーラー服がかかっていた。

え、まじで…まじだったの…!?!?

「咲良〜いつまでねてんのおきなさぁい!」

あ、お母さんだ。間違いない。お母さんだ。(断言)
とりあえず高1の時の朝と同じ行動をすればいい。

まず、リビングに行く。
「おはよー、咲良」

「お、おはよ」

やっぱ正真正銘お母さん。
ご飯食べて、歯磨いて、制服を着る。

あ、やばい。懐かしすぎて泣きそうだわ。

すんごく久々に制服に腕を通す。

あ、泣きそ(省略)って何しみじみしてんの!
!!
貴裕に会うんだ。

嬉しいけど、あってどうするの?

貴裕は死んでしまう。

私が何か出来るの?

何も出来ないかもしれない。

そんな事だったら来た意味がない。

21歳の夜に16歳の私から聞いた。

「貴裕を助けることは出来るかもしれない。でも…」











21歳の夜に16歳の私に言われたことの決心はついてる。

だから、怖くはない。

大丈夫だ。

そう決意し家をでる。あぁ、貴裕だ。貴裕は毎朝私をむかえにきてくれる。

今日も笑顔で家の前にいた。

「貴裕……!!!!」

「どうしたんだよ。びっくりしたような顔して笑」
貴裕だ。

貴裕がいる。

もう、それだけで十分とも言えた。

ってそんなんじゃダメじゃん!

また、同じことの繰り返しはしたくない。

しちゃ、ダメなんだ。
「咲良?」

「あっ、ごめん!なんか考え事してた〜!」

そんな言い訳をする私を、貴裕は心配そうに見つめてくる。

「何かあったら、俺に言えよ?」

あぁ、やっぱり貴裕は優しい。優しすぎる。

「うん…ありがと!!」

「ん、」

貴裕は照れた顔でそう言った。
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