恋の宝石ずっと輝かせて2
第五章 誰もが怪しくて

 日が落ちても外の温度は下がることなく、もわっとした空気が立ち込めていた。

 腹ごしらえをした後、ふたりは神社に向かいキイトの名前を呼んでみた。

 電灯もなく、ひたすら周りが薄暗くなっていくと、仁は暗闇が怖く感じ出した。

「この時間はあまりこういうところ来るもんじゃないね」

「やだ、仁、怖いの?」

「完全な夜を迎えて、真っ暗になったらやっぱり怖いよ」

 ユキが突然パチッと自分の腕を叩くと、仁はどきっとしてしまった。

「脅かすなよ」

「蚊がいたの」

「ここにじっとしていたら蚊に刺されちまうだけだな。また明日来てみよう」

「でも明日もキイトがここにいなかったらどうやって探せばいいの」

 ユキは手を振って蚊をよけていた。

「そうだな。連絡先きいてないし、連絡のつけようがないな。あっ、もしかしたらニシナ様を祀っているところにいるのかも」

「仁はその場所知ってるの?」

「いや、わからない。でも、花梨さんに聞けば教えてくれるかも。花梨さんの家は山神様のお世話をするとか言っていたから。だけどあんな事があったからまたあの家に行くのはやだな」

 仁は昼間の出来事を思い出し、つい身震いしてしまった。

「瞳ちゃんのお母さんか。それじゃ私が明日訪ねて訊いて来ようか」

 暗闇の中、仁はユキの顔を見て少し考える。

 刻々と辺りは容赦なく暗くなっていくように、ユキの意識も消えつつあるかもしれない。

 闇が仁を突然不安にさせていく。

 トイラの力が増しているのなら早いうちに行動した方がいい。

 恥もマナーも捨てて決心した。
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