独占欲強めの部長に溺愛されてます
消えてなくならない恋心


朝のラッシュは、何年経験してもつらさに変わり映えはない。発車のメロディが流れてくるのと同時に走りだし、はちきれそうなほどの人混みの中にダイブする。

夏場よりは幾分かマシになったが、九月半ばでもむさくるしさは同じ。いや、一年を通じて不快なのは変わらないが。
これが五日間続くのかと思うと、月曜日の朝は特に憂鬱になる。

どうにかこうにかドアの手すりのところに居場所を確保し、窓と向かい合う体勢で立った。これが地下鉄だったら、閉塞感でもっと息苦しいのかもしれない。

ドアが開くたびに一緒に吐き出されてしまうが、何度も同じ位置に戻りやりすごす。今朝はいつもより気分がさらに優れない気がする。
頭痛がするのは、この混雑のせいだろう。

(あと三駅だ……)

げんなりしながらため息を小さくついたときだった。背後にあった圧迫感が不意に軽くなる。横目で周りを見てみても、人が減った様子はない。

(あれ? どうして?)

野々花が不思議に思ったときだった。思いもしない声が頭上から降ってくる。


「おはよう」

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