太田美羽は仕事帰りだった。

職場での事を思い出す。
総務課でも和人と鴻江の出来事は噂になっている。

その話題を肴に合コンしようと課の同期に誘われたのだが、美羽は当然参加する気にはなれず帰宅途中だった。


別れた方がいいに決まっている。

だがそれができないから問題なのだ。


美羽はお見合い話を両親から持ちかけられた。


彼女の両親は共に耳鼻咽喉科医をしており、医院を経営している。

相手は医療用機器製造メーカー社長の一人息子で、両親の医院でもそこの機器を使用しており、それから縁談話が持ち上がったらしい。


いずれはその全てを引き継ぐことが決まっているそうだ。



このまま結婚が決まれば、つまりは玉の輿だ。
両親も安心するだろう。



和人のマンションの近くまで来たが彼女は足を止める。

このままでは自分はストーカーになってしまう。

美羽は美しい顔に暗い陰を落とし、来た道を戻り始めた。