おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
エルディール王国にて
エルディール王国には3人の姫とひとりの皇太子がいる。上ふたりの姫は諸侯の元へ嫁いでおり、城で生活しているのは国王、マクシムと王妃ナターシャ、3番目の姫のリンネ、そして若干12歳の若き皇太子、ライナスだ。

リンネは既に15歳を迎えており、そろそろ姉達のように嫁ぎ先を決めなければならなかった。
王女という折り紙つきであるにも関わらず、リンネにはほとんど婚姻の申し出がこなかった。
その理由は、リンネは淑女とはまったくかけ離れたとんでもないおてんば姫だからである。

この国ではどんな身分であろうとも、女性が表舞台にたつことは決してない。女性はあくまでも伴侶となった男性を引立て、子をなすことのみが仕事とされている。

国で生活している女性はみな自分の役割をしっかりと認識しており、誰一人として表舞台にたつものはいなかった。
ただひとり、リンネを除いては。
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