W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~

すれ違う心

月曜日、

眠れないまま朝を迎え、ボーとしたまま梗月の家へ向かうと、今日も梗月は既に起きていてもう支度も終わっていた。

「お、おはようございます」

「おはよう。どうした?目の下に隈が出来てるよ?」

「あ、ちょっと遠出して疲れただけです」

「そお?涼とは楽しくやれた?あいつの事だから何か無理なこと言ってこなかった?」

「いえ、楽しかったですよ。ただ…」

頭を振り俯くと、頭に重みを感じて顔を上げた。
目を細め優しく撫でてくれる手にドキドキして顔を熱くする。

「説得は無理だったみたいだね。無理もない。相手は百戦錬磨の涼だからね」

「梗月さん…」

ため息をつくように名前を呼ぶと苦笑いして身を翻した。

「さ、行こう。今日は僕が運転するよ。」

さっさと玄関へ向かう涼月の後ろ姿を切なく思いながら後を付いていった。

その日の夜、帰り支度をして、社長室をノックすると中へ入り、かつての夜のように薄暗い社長室の窓際に立っている梗月の隣に立った。

「梗月さ…」

「涼月とのデートはどうだった?心は決まったかな?」

静香の呼びかけを遮り、聞いてくる梗月は穏やかな顔をして外を見ている。

「遊園地に行きました。涼月さんは優しくしてくれて、楽しかったです…。でも、私の気持ちは…」

私の気持ちは梗月さんに…
そう言いたいのを飲みこみ静香は梗月の顔を見た。
一心に見つめる瞳に気付いた梗月は一瞬はにかみ、目を逸らす。

「涼から連絡があったよ、明日から静香くんを出向で本社に寄越してくれって。職権乱用もいいとこだよね」

「え?」

「明日からはさすがに無理だから木曜日に二日間だけの出向にしてもらったよ。いい機会だ。本社の雰囲気も見てくるといい。」

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