現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
プロローグ
小さな頃、寝る前にはいつも父親が物語を読んでくれた。物心つく前に母親を亡くしたグレースを不憫がったのと、伯爵としては破格に子煩悩だったからだろう。
その時に二人っきりでかわす会話も小さなグレースにとって大好きな時間。乳母やメイドがいないから父娘は自由に話が出来た。

「ねぇ、お伽話のお姫様のお父様ってどうしてみんな、再婚に失敗するのかしら?」

「失敗?」

「そうよ。だって一回目はプリンセスの素敵なお母様と幸せな結婚をしたはずなのに、再婚するのは意地悪な継母なんですもの。不思議だわ」

「ああ、それはね、お父様達が死んでしまったお母様を心から愛していたからだよ。愛し過ぎて寂しくて、慌てて結婚するから失敗するんだ」

「まぁ!じゃあ、私のお父様も失敗する結婚をしてしまうの?」

「ははっ。そんな事にはならないさ」

「でもお父様は死んでしまったお母様をとっても愛してるでしょ」

「勿論、愛しているさ。でもお父様は大丈夫、失敗しないよ。だってお母様を想うのと同じくらいグレースを愛しているからね」
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