次期院長の強引なとろ甘求婚
約束の朝の衝撃事件


「ただいまー……」


 帰宅して玄関を入ると、すぐに両親が揃ってリビングを出てきた。

 今まで、こんな風に帰宅を迎えられたことはない。

 二人揃って飛んでくると、「ど、どうだった?」と、母親が待っていましたといわんばかりに切り出した。

 まだ玄関も上がってないのに、と思いつつ「うん」ととりあえず返事ひとつミュールを脱ぐ。


「え、うん、って何よ? 三角さんと一緒だったのよね?」

「うん。何か、すごいいいフレンチレストランでご馳走になって、ここまで送り届けていただいた」


 ざっと概要を話したところで、ふたりはあっと驚き、リビングに入っていく私を追いかけてくる。

 ちょうど夕飯中だったらしく、ダイニングテーブルの上には二人分の夕食が並べられていた。

 我が家は今日は中華だったらしく、チンジャオロースに卵スープが並ぶ。


「それで? どうしてそういう展開になったんだ」


 荷物を置いた私に、今度は父親が続きを追及してくる。

 まだ話は長くなりそうで、バッグを置いたソファに腰を下ろした。

 ふたり揃って私の周囲を囲うもんだから、「話すから、とりあえずご飯食べなよ」とテーブルにつくように促す。

 しぶしぶといった様子でふたりが食卓についたところで、今日のことを思い返した。

< 48 / 103 >

この作品をシェア

pagetop