私、前田佳香(まえだかこ)は、平凡な私立大学を卒業しいくつもの就職試験に落ちたにもかかわらずなぜか大手ホテルの広報室に就職できた。
周りからは、「人生の運をここで使った」と言われたけれど、今年で入社から4年。
真面目に一生懸命働いてきた。
大きなトラブルもなく、上司にもかわいがってもらっていると思っている。

「前田くん」
課長が呼ぶ声。

ん?
コーヒーかな?

「はい」
立ち上がって、課長の元に近づく。

今年40歳になる上島(かみしま)広報課長。
朝はコーヒーが欠かせなくて、いつも私が頼まれる。
若い子に頼めば、嫌な顔をされるのが分かっているからね。

「課長、コー」
ヒーですかと言いかけて、言葉を止めた。

課長のデスクの前に身長185センチはありそうなさわやか青年が立っていた。

うーん。
好みはあると思うけれど、イケメンだ。
ちょっと幼い顔立ちが、お姉さんOLの人気を集めそう。