無遅刻無欠席が取り柄の引っ込み思案の透明人間
身も心も透明人間から脱却するんだ
  
 足がガクガクする。
 
 太ももが重い。

 膝が痛い。

 足のうらがヒリヒリする。

 俺は走り出した。

 学校まで、緩やかな登り坂をいっきにかけあがろうと思った。

 時間が分からない。

 通学の学生の数からいって、俺が毎日通学する時間より遅いかもしれない。

 よーし、いくぞー!!

 俺は、なだらかな坂を走り出した。

 おはよー!!

 俺は次々通学の学生に声をかけた。

 彼らは目を丸くしてあたりを見回した。

 そうだ。

 身体が透明人間になったいじょう、性格まで透明人間では、本当の空気みたいになっちまう。せめて俺の方から挨拶していこう。

 俺は、なだらかな坂を更にスピードを上げて走り出した。

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