可愛がりたい、溺愛したい。
1ヶ月だけ依生くんと。



そしてあっという間に迎えた放課後。


いつものように帰る準備をして、依生くんと学校を出る。


帰りの時間帯は朝より少しだけ電車の混み具合も落ち着いていて運が良ければ席が空いていたりする。


電車を降りて、歩いてわたしの家に着いたところで、依生くんと別れるはずだったんだけれど。



「あれ…今日依生くん家に来る約束してたっけ?」


なぜか依生くんは自分の家に帰ろうとせず、わたしの隣に立ったまま。



たまに学校帰りにわたしの家に寄っていくこともあるけれど、そういう時はいつも事前に言ってくれるし。



「……約束っていうか、今日から僕が帰る家ここだし?」


「え??」


すると、なぜか依生くんがわたしの家の鍵を持っていて、ガチャっと開けた。


「ほら、中入ろ?」


いまいち状況が理解できてないのはわたしだけ?


頭にはてなマークを浮かべながら、とりあえず中へと入る。

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