宝石姫と我が儘な教え子
1 王女の眠り

jadeite side 花筏


首都高を抜けて郊外へと車を走らせる。良く晴れたドライブ日和で、道連れとして兄の奥さんを借りてきた。勝手に連れて来たので兄に文句を言われそうな気がするが、その時は適当に受け流せばいい。


「次郎さん、これからどこに行くんですか?」


「結婚したセフレに会いに行くから、ちょっと付き合ってほしくてさ」


「ほほう、…せっ、せふ…れの御方が、ご結婚なさったのでございますか……」


兄嫁の声が次第に小さくなる。一度は顔を赤くし、その後複雑な顔で沈黙した。この人は何を考えてるか非常に分かりやすい人である。名前を理緒さんという。

動揺すると言葉遣いが変になるのはデフォルトらしい。俺より歳上で人妻のくせに「セフレ」すらまともに言えないピュアな人柄をしてる。


確かに、考えるまでもなく見も蓋もない言い方ではある。「セフレ」という言葉は「恋人じゃないけどすることはする」という不健全な語義に溢れている。


しかし瑠衣(るい)は至って真面目な顔で俺たちの関係性をそう定義していた。曰く、「宗次郎くんなんかただのセフレよ。結婚するまでの火遊びに過ぎないの」と。


「差し出がましい事を申しますが、会わない方が良いのでは?その御方がご結婚なさっているのなら、あまり良いことにはならないかと…」
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