エス・狂信パラドックス
好きな人が居た。
彼を初めて見たのは、今から三年前。
「ニカ~おはよう」
中学の入学式、サラッと見回した同級生たちの中、一番カッコ良かった彼に、ごくごく平凡な一目惚れ。
「おはよう、アリサ」
あれから三年。今は高校生。
今日までは、それなりに楽しかった。
中学の三年間は、彼と一緒のクラスには一度もなれなかったし、友達と呼べるほど親しい間柄にもなれなかった。
けど、全く会話をした事がないわけでもなく、私は彼と、17回喋った事がある。
「なんか天気悪いねえ~、今日
雨降りそう」
「明日から梅雨入りみたいだよ」
「え、マジ?最悪~…
テンション下がるんだけど~…」
彼と同じ高校に入ってからは、もう回数は数えていない。
ようやくクラスが一緒になれて、毎日話せる様になったから。
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