ただずっと、君が好き

side夏希

ケーキを食べ終えると、沙奈のお母さんに風呂に入るよう言われた。
ひなた、私、沙奈の順で入ることになった。


風呂から上がって沙奈の部屋に戻ると、ひなたは寝ていた。


「疲れたみたい」
「……だろうね」


髪を乱暴に拭きながら、ずっと座っていた場所に座る。


今日のひなたの話を思い出して、ため息をついた。


「夏希……?」


私のそれに疑問を抱いたのか、沙奈が小さな声で呼んできた。


だけど、その理由を話すにはひなたの過去を話すことになる。
他人の過去を勝手に話す趣味はない。


「……ひなたって、まだ天形のことが好きなんだなあ、と」
「好きっていうより、執着なんじゃ」
「ひなたに限って、それはないよ」


沙奈の言葉を早めに否定した。


ひなたは初めて好きになったものをなかなか嫌いになれない。
気持ちが冷めることもない。


小説も、ドラマも、漫画も、俳優も。


どれだけ寄り道しても、結局一番初めに好きになったものに戻る。
だからと言って、天形に対する思いもそれと同じにしていいのかって言われると、わからない。


でも、実際に天形以外に好きな人が出来ていないから、そうなんだと思う。


「ひなたのことは応援したいけど……天形ってのがなあ……」
「だからあんなに矢野のこと推してるんだ?」


沙奈に言われて、口に出してしまっていたことに驚く。
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